MAスコアリングの活用法
更新日:2022/10/06
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スコアリングとは?
マーケティングや営業活動におけるスコアリングとは、見込み客の行動や属性に応じて評価点を付けることを指します。評価点により、見込み客の購買意欲が定量化されることで、優先順位の高い見込み客にアプローチすることが可能となります。従って、契約獲得の可能性が高い見込み客に営業アプローチを行うことができることから、社内リソースを効果的に活用できるという大きなメリットがあります。
スコアリングが重要視される背景
営業・マーケティングのDX化
顧客の購買活動が対面からオンラインへ移行したことで、WEB、ITを活用した営業やマーケティングの生産性向上を促進していきたいというニーズから、データを活用した営業・マーケティングDXに投資を進める企業が増えてきました。その中でMA(マーケティングオートメーション)の導入が増えており、MAには様々な機能がある中で、スコアリング機能は営業活動を効率的に行うための機能として有効で活用していきたいという企業も増えています。
関係性の向上
スコアリング機能が上手く機能すると、インサイドセールス部門のアポイント獲得や営業部門の契約獲得を効率よく行うことができます。例えば、1ヶ月あたり30件の商談を行う営業パーソンで考えてみましょう。30件の見込み客がスコアリングされていると、どの見込み客が検討度が高いのかという事前情報を基にスコアが高い見込み客から営業アプローチすることで、タイミングよくアプローチすることが可能となります。またスコアがやや低い見込み客については、アプローチ内容を「クロージングからナーチャリングへと営業スタンスを変えてアプローチしよう」等の判断がつきやすくなります。結果として見込み客の状況に応じたアプローチをすることで、one to oneマーケティングの実践に繋がり、より良い関係性の構築を見込むことができます。
機会損失を減らす
スコアリングを実施することで、検討度合いの高低を可視化することができますが、ここでは検討度合いが低い見込み客に焦点をあててみます。検討度合いが低い見込み客は情報収集段階であったり、導入に向けた社内調整段階であることが多く、今すぐに顧客へと変わる状況ではありません。1度自社のホームページで複数のページを閲覧し、スコアリングされたものの、それ以上の行動をとらなかったため検討度合いが低い見込み客と定義されたとします。マーケティング部門では、この時、検討度合いが低い見込み客に有益な情報提供を続けることで、ナーチャリングをし検討度合いが高い見込み客へと変えることで機会損失を防ぐ行動を取ることができます。故に、スコアリングを有効活用し、リートを有望なリードにナーチャリングすることで機会損失を減らしたいというニーズがあります。
営業・マーケティングのDX化を背景に、one to oneマーケティングの促進を行うことで関係性向上や機会損失を減らすメリットからスコアリング機能の有効性がご理解いただけたと思います。しかしながら、スコアリング機能を有効活用するには注意点がありますので、次項ではそれらを確認していきます。
スコアリング運用の注意点
定期的な改善を行う
スコアリング設計は「定期的な振り返りを実施し、精度を高めていく」という取り組みが重要です。点数付与のルールを設計し、スコアリング機能を活用しはじめて見たもののスコアが高い見込み客の中には、購買意欲が低い見込み客が混ざってくることがあります。購買意欲の高い見込み客割合を高めていくためには点数付与のルール設計の見直しを行い、定期的に改善していく姿勢が必要です。
それではメリットや注意点を抑えた上で、スコアリングを構成する大きな2つの要素(行動スコア、属性スコア)をみていきましょう。「行動スコア」とは特定ページの閲覧やメールの開封、クリックなど見込み客の行動結果に対して点数づけを行うことです。「属性スコア」とは、業種、業界、従業員数など見込み客の状態に対して点数づけを行うことです。
行動スコアの例
会社概要ページを見たら+10点 資料DLをしたら+40点 サービスページを見たら+10点 等
属性スコアの例
資本金1億円以上なら+10点 部長以上なら+10点 等
減点スコアリングを実装する
行動スコアにより加点された見込み客の中には、自社商品の購入、サービス導入が目的でない場合もあります。例えば、求職者の方々で採用エントリーの判断をするために、WEBサイト内の情報収集をしているケースです。この場合、リストの精度をより高めるためにスコアを減点する必要があります。自社に営業をかけてくる企業や、IRの情報収集のために訪れたユーザーも対象となります。
定期的な見直しを行いながら、加点のルール、減点対象を見極めつつ、スコアリング精度の高い設計へと改善を繰り返すことで、自社に最適なスコアリング設計が可能となります。
スコアリングの設計
既存顧客の分析を行う(属性スコア)
自社商品・サービスが最も高い評価を受ける顧客層を分析します。業界、業態、企業規模、従業員規模、企業ステージ、会社の場所、過去に取引をしていたかどうか、抱えている課題などを洗い出すことで、自社に最適な属性スコアの項目出しを行うことが可能となります。項目出しを行ったら、それらの重要性を設定します。例えば「高」「中」「低」の3段階で重み付けを行い、それぞれに点数付与を設計するといった具合です。
既存顧客の分析を行う(行動スコア)
高い評価を得ることができた顧客が見込み客時から新規客に至った過程・行動の分析を行います。自社サイトへの流入経路、WEBサイト内での閲覧分析・行動分析(DL資料や開封したメール)、これらのサンプル数を多く集め「どのような行動をとってきたのか」を紐解いていくことで行動スコアの方向性が見えてきます。行動スコアの方向性が見えてきたら、スコアリング設計に入りますが、全てのWEBページや、行動に点数を付与する必要はありません。傾向の中から一定割合を越えて必ず見られるコンテンツや行動を洗い出し、点数付与の設計を行いましょう。
部門間の合意形成をはかる
属性スコア、行動スコアを仮に設定することができたら、その設定スコアをベースに部門間でコミュニケーションを取ることを推奨しています。日頃見込み客と接している営業サイドから見て感触の良いスコアリングか、WEBのデータを取り扱うマーケティング部門から見てデータに基づいた良いスコアリング設定が出来ているかの会話を行い、部門間の合意形成をとりましょう。部門間の合意形成をとっておくことで、初期設計の共通認識の下で営業活動・マーケティング活動が行われることになります。後に続き改善方法を実行する際に、営業サイドからのヒアリングがスムーズに行いやすくなるというメリットがあります。
スコアリングの改善方法
データ分析を行う
スコアリングとは、「見込み客の検討度合いの高低を可視化することである」と冒頭に説明をしました。すなわち自社である一定の点数を越えた見込み客をホットリードとし、営業活動を行うとき、そのホットリードの商談化率やホットリードの成約率が上昇傾向にあるかどうかを定期的に分析することが重要となります。スコアリングの精度はホットリードのクオリティに現れます。データを軸に、スコアリング設計の改善テーマを洗い出し、改善を行いましょう。
営業担当者にヒアリングを行う
スコアリングを運用すると、ホットリードの提供が可能となります。マーケティング部門から渡されたホットリードはアポイントが入りやすいか、契約に至りやすいか、十分にナーチャリングされているのか、営業担当の所感をヒアリングすることで、スコアリング設計のどの部分を修正すべきかテーマ設定を行いやすくなります。ここで先に述べた合意形成が行われた上でスタートをしていると、日頃の営業活動で気になった点などを営業担当者が注意を払ってくれているため、ヒアリングが行いやすくなります。営業担当者のコメントを全て反映する必要はありませんが、コメントとデータから改善テーマを洗い出し、調整を行いましょう。
購入・契約に至った顧客にヒアリングを行う
スコアリングデータを基に、ホットリードを抽出し、その結果、購入・契約に至ったお客様にヒアリングを行うことも有効です。自社サービスの導入によって得られた効果や価値をヒアリングすることで、自社のWEBサイトに設定してあるホワイトペーパーの点数調整に結びつけたり、ブログ記事の点数調整に結びつけることも可能となります。お取引開始前に印象に残ったDL資料やWEBサイトのページ文言などもヒアリングを行いましょう。
いかがでしたでしょうか。MAスコアリングは上手く設計・運用ができると企業の営業・マーケティング活動において大きなメリットを得ることできます。一方で注意点に気をつけながら、データ分析技術を活用し改善を繰り返すことが重要であると、ご理解いただけたかと思います。タイトルメイクではMAの運用コンサルティングとして、スコアリング設計・データ分析サービスも提供しておりますので、気になる方はお問い合わせください。